Masaru Yamada

TITLE
翻訳者の脳科学

ABSTRACT
ニューラル機械翻訳はプロ翻訳者の脅威となるのか、ならないのか。「翻訳」とは一体何なのか。ポストエディットは普通に翻訳するのとどう違うのか。本発表では、これらの議論に、科学的根拠に基づく一定の回答を示します。具体的には、脳科学的アプローチによる実験結果を提示します。脳機能イメージング装置(fNIRS)を使った翻訳プロセスの検証結果にもとづき、プロ翻訳者とアマチュア翻訳者の違い、ポストエディットとそうでない通常の翻訳作業との違いを、翻訳者の脳内の活性化機能の違い(すなわち、頭の中のどの部位を動かしているのかという違い)から説明します。これにより、私たちが言うところの「翻訳」とは、字面の解釈だけではなく、言葉の裏にある意図を理解することが大事であるといった経験的にいわれてきた事を、実際の脳内活性部位の相違から同定できるのです。つまり、「翻訳」のできる人と、「そうでない人」の脳の動きの違いを区別できるというわけです。

対象者:翻訳者・通訳者、翻訳関係者全般

BIO
関西大学外国語学部・外国語教育学研究科教授。ウエストバージニア大学英米文学部卒、同大学院言語学修士、立教大学大学院異文化コミュニケーション研究科博士後期課程修了。博士(異文化コミュニケーション学/通訳翻訳領域)。ビジネス通訳と翻訳、ローカリゼーションの実務を経て、現在は大学で研究と教育に取り組む。研究の関心は、翻訳プロセス論、翻訳テクノロジー論、翻訳教育論(TILT)など。最近の論文に、大西菜奈美・藤田篤・影浦峡との共著「翻訳学習者が誤訳をする理由: MNH-TT の校閲カテゴリ「X3」から見る学習者の訳出プロセスと学習効果」(通訳翻訳研究への招待18号)などがある。

Sessions

翻訳者の脳科学

ニューラル機械翻訳はプロ翻訳者の脅威となるのか、ならないのか。「翻訳」とは一体何なのか。ポストエディットは普通に翻訳するのとどう違うのか。本発表では、これらの議論に、科学的根拠に基づく一定の回答を示します。具体的には、脳科学的アプローチによる実験結果を提示します。脳機能イメージン...

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