東京大学大学院人文社会系研究科・文学部教授

沼野充義

1954年東京生まれ。東京大学大学院満期退学、フルブライト留学生としてハーバード大学大学院博士課程に学ぶ。ワルシャワ大学講師、東京大学教養学部助教授を経て、現在、東京大学大学院人文社会系研究科・文学部教授。2009-2013年、日本ロシア文学会会長。 ロシア・ポーランド文学、現代文芸論専攻。日本文学の評論にも携わり、東京新聞で文芸時評欄を担当。毎日新聞書評委員、読売文学賞選考委員。文学を通じての国際的交流にも携わる。著書『ユートピア文学論』(読売文学賞)、『亡命文学論』(サントリー学芸賞)、『W文学の世紀へ』、『屋根の上のバイリンガル』、編著『世界は文学でできている』(光文社)。訳書は主にロシア語、ポーランド語から、ナボコフ『賜物』、『新訳チェーホフ短編集』、シンボルスカ詩集『終わりと始まり』、レム『ソラリス』など。2013年度、NHKラジオ講座『英語で読む村上春樹』の講師を務めた。

セッション

村上春樹 vs.カラマーゾフ――現代日本の翻訳文化と世界文学

現代の日本の翻訳の状況を見ると、内から外へ、と外から内への両方向で活発化しています。村上春樹は世界中の言語に翻訳されて「世界文学」の一部になっていますが、他方、ドストエフスキーのような西洋文学の古典が新たに日本語に訳され広く読まれています。本講演ではこのような現代日本の翻訳文化の状況を踏まえ、以下のトピックを検討する予定です。

(1) 文学の翻訳の場合、二つの言語の間を超える、あるいは媒介するということは、文化的にどのような意味を持つのか。

(2) 翻訳は現代の世界文学の形成にどのような意味を持つのか。

(3)...

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