大学図書館は終焉を迎えるのか?-Googleが開けた情報の扉と大学図書館

一昔前、と言っても10年足らず前までのことだが、米国の大学で情報探しや文献参照をする際には、まず、求める情報をどのように探したら良いか、どのような参考図書にあたるべきか、どんな索引(index)を利用したら効果的か、等を専門司書に相談したものだった。何世紀にも亘って蓄積・継承されてきたこの構図―研究活動は図書館に出向いてするーがここ数年の間にすっかり様変わりしていることは誰もが実感している。ある米国非営利団体が大学研究者を対象に実施した調査によると、「研究を始める出発点は図書館である」と答えたのは人文分野で30%、社会科学では20%、科学技術分野では10%以下との結果が出ており、この数字は年々下降線をたどっている。これと対象的に急上昇をしているのがGoogle検索や電子リソース検索(各70%、80%、90%)を研究の出発点としている割合である。このような環境の変化の中でいったい何が大学図書館に起こっているのか、大学図書館はGoogleに取って代わられるのか、Googleが開けた情報の扉の向こうに我々を待っているのは何なのか、具体例を交えて一考してみたい。