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原文から何を読み取るか――3歩手前から考える
翻訳というのは、頭のなかで、原文言語と訳文言語を一秒に何千回も往き来しながら行う複雑な作業です。しかも、原文という《縛り》があるわけですから、自分が最適だと思う語彙を最適だと思う順序で使うことのできる1言語、つまり、原文言語や訳文言語内での通常の文章の執筆とは事情が異なります。一から訳文言語で執筆したら絶対にできないような妙な訳文や痩せた訳文ができあがってしまうのもそのためでしょう。翻訳に際しては、通常の1言語内での文章の執筆であれば無意識に行っていることがらについて、あらかじめきちんと整理しておかねばならないわけです。《自然な訳文》《読みやすい訳文》《意訳》といった勝手訳につながりかねない議論ではなく、原文を読む段階で何を読み取ればよいのかについて、まとめて紹介していただきます。そうした整理に有用な《母語でのシャドウイング》や《エア・ディクテーション》についてもご紹介いただきます。