原爆被爆者の証言を多言語化する

米国のカジノの拠点、ラスベガスの片隅に、等身大の美女のパネルを玄関に飾ったビルがあります。何あろう、国立核実験博物館。20世紀後半に近くの砂漠地帯で盛んに大気圏核実験が繰り返されたことを記念した建物なのです。

でも、ここでは核兵器の材料であるプルトニウムの生産工程や、巨大なキノコ雲が立ち上がる核実験の写真、それに「核戦争になっても大丈夫」と言いたいのか、地下シェルターの中でテレビにくつろぐ親子の蝋人形などがあるのみ。「人間の死」の姿は見えず、代わりに男たちが「ミス原爆」コンテストを楽しんでいるというわけです。
  核物質の分裂がもたらす巨大なエネルギーは、人間の「死」の姿を大きく変えました。恐るべき地獄を創り出したのです。生き延びた人たちは「思い出したくもない光景」の記憶を甦らせ、つらい証言をしてくれています。
  でもそれが日本語で語られるだけだと、「核のない世界」への共通の観念に広がりません。外国人が自分の母語で理解してくれるよう多言語翻訳の努力が必要なのです。NET-GTASはそうした想いから活動を始めました。講演の対象者:日英翻訳者・英日翻訳者、出版翻訳者、通訳者、平和専門分野など