佐藤 美希

佐藤 美希

札幌大学教授。英国University of Warwick大学院で修士号(比較文学論)、北海道大学で博士号(国際広報メディア)を取得。日本通訳翻訳学会(JAITS)会員。ロンドン大学SOAS翻訳学研究センター客員研究員(2022-2023)。専門は翻訳学(Translation Studies)・比較文学・英文学。翻訳を通じた文学受容と日本の通訳翻訳史を研究。最近の論文に‘The Conceptualisation of Hon’an (Adaptation) in Edo and Meiji Japan’ (『通訳翻訳研究』22号、pp. 17-29)。

Sessions

翻訳の可視性:翻訳学(Translation Studies)の視点から

翻訳学(Translation Studies)では、翻訳の可視性というとLawrence Venuti(1995/2018, 1998)による「翻訳者の不可視性(Translator’s invisibility)」の議論がよく知られている。彼の議論の本来の意図は、翻訳をめぐる状況の「脱中心化」――彼が考察対象としたアメリカの翻訳出版方針を問題視すること――であり、invisibilityと関連して論じられるforeignisation とdomesticationという二種類の翻訳方略についても、日本の文脈に即した「脱中心化」を考える必要があるが、日本の文芸翻訳の場合、翻訳は不可視ではない。また、翻訳学では近年、翻訳の倫理としてreflexivity, responsibility, accountabilityが重要視されるようになっており(Floros...

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