IJET-31 (2023年 6月24・25日)
Session | IJET-31 (2023年 6月24・25日)
吹替翻訳者に必要なポストプロダクションの役割と意識
近年、吹替翻訳はアニメやゲームの他、企業動画等のビジネス分野も増加している。字幕翻訳は文字数で規則が確立されている一方、吹替翻訳はオリジナルの言語が話されている「尺」に合わせるため、翻訳者による細かい調整が必要となる。海外のクライアントから受けた様々な企業動画ナレーション収録の経験では、翻訳者とナレーターの接点がない、あるいは吹替翻訳であるという前提条件が翻訳者に知らされていない状態で翻訳が納品されるため、翻訳が映像の尺に合わない問題が多数発生している。企業は自社のメッセージを正確に視聴者へ伝えることでビジネスチャンスを拡大するため、翻訳とナレーションというローカライゼーション作業は極めて重要である。吹替翻訳者は、コンテンツ制作のポストプロダクションでの役割を意識し、自身の存在の可視性を高める必要があると言える。本セッションでは、ナレーターがどのように吹替収録や音声編集を行っているのかを共有しながら、吹替翻訳者をポストプロダクションにおけるリンギストとして位置付け、
より質の高いローカライゼーションサービスを提供するための意識を具体的な例を交えて発表する。